アラブの女 イラク女性の素顔
図書出版社
鳥居 千代香 訳
本書はイラク女性の家庭での役割、女性が夫や他の家族のメンバーとの関係をどう感じているか、結婚の準備、夫と妻の関係、いかに女性が社会から支配されるかについて書かれている。原著者サナ・エル・カヤット(Sana al-Khayyat)は離婚後、兄が暮らすイギリスの大学院に留学。イラクの女性たちへのインタビューやフィールドワーク、自分の体験・観察に基づき学位論文を書き、それが本書のベースになっている。1986年に学位を取得後も帰国しないでイギリスにいわゆる亡命した。彼女にはロンドンでよく会って話をした。本書出版の直前1994年に私はイラク政府から招待されて湾岸戦争後の首都バグダードに行き、フセイン大統領が創設したと聞くイラク婦人総同盟の国際会議に出席した。イラクの女性の家にも招待され、写真も撮らせてもらい、本書の表紙に使用している。2003年に大量破壊兵器やテロを理由に米軍等がイラクを攻撃、政権は崩壊した。女性や少女たちの無事を願う。(1994年出版)