書籍紹介

Works

インドの女たち『マヌシ』からの報告

明石書店

マドウー・キシュワール / ルース・バニタ 編

鳥居 千代香 訳

ニューデリーの本屋の前の路上に並べていた表紙が派手な雑誌の間に一冊だけ地味な雑誌が目に入った。表紙に左の乳房もあらわな女性の痩せた上半身が写っていた。こんな悲しそうな顔をしてこの女性はどうしたのだろうか、と雑誌を手にした。私と『マヌシ』との出会いだった。旱魃(かんばつ)に苦しむ女性の姿だった。雑誌はニューデリーの女性グループ「マヌシ」が出していた。私はすぐに事務所を訪ね定期購読者になった。女性の基本的人権を守ることを目ざし、女性からの相談にのり、運動もしていたが、1979年創刊の隔月刊の雑誌『マヌシ』を出すのも重要な仕事。インドを中心に各地から寄せられる寄稿、読者からの投稿欄、「マヌシ」のスタッフやボランティアが情報を提供していた。「マヌシ」の創設者は原書の編者マドゥー・キシュワール(Madhu Kishwar)とルース・バニタ(Ruth Vanita)だった。(1990年出版)