インド 寺院の売春婦
三一書房
鳥居千代香 訳
インドのボンベイ(ムンバイ)の私が会った売春婦の多くがデーヴァダーシー(南インドのヒンドゥー教寺院に所属する踊り子)出身だった。親に7、8歳で寺院の女神や神に捧げられ、神と結婚した少女は、人間の男性との結婚が禁止される。思春期になると処女の花を折る儀式が行われる。パトロンが少女と最初の夜を過ごす権利を持つ。パトロンとの関係はその一回だけか、しばらく続いたとしても、食べていけなければ自活しなければならない。教育を受けたこともなく、売春以外に生活手段がなかった。この制度についてジョーガン・シャンカール(Dr. Jogan Shankar)著の原書を訳そうと思ったのは大学の研究者でありながら彼女たちをリハビリして社会復帰させるボランティア団体を設立、実践的活動をしていた一人だったからである。(1995年出版)