書籍紹介

Works

インド 姿を消す娘たちを探して

つげ書房新社

ギーター・アラヴァムダン 著

鳥居 千代香 訳

「ミサイル開発の父」と呼ばれる第11代インド共和国大統領アブドゥル・カーラム博士(1931-2015年)が本書の「まえがき」を書いている。原著者インドのジャーナリスト、ギーター・アラヴァムダン(Gita Aravamudan)は「女児の堕胎のことが現在最も気がかりなので、すぐに本を書くように」とカーラム博士から励まされたという。訳者である私は2011年に博士の御邸宅をお訪ねした(本書に写真掲載)。そのとき「よい本だ」と勧められた。
英語版はベストセラーとなり、賞も受賞した。インドのどの地域でも女児が急速に姿を消している。貧しい農村より都市の中流で高収入、教育のある人のほうが男女選択中絶を求めている。医療機器&技術のハイテク化で女児の胎児が絶滅させられている。ノーベル経済学賞受賞のインド人経済学者アマルティア・センは早くも1990年に「南アジア、西アジア、北アフリカで女性がいなくなっている」と述べ、「20世紀最悪の人間の大惨事」と位置づけた。(2012年出版)